今回は強制性交罪に問われた元俳優の新井浩文被告(41)が2020年11月17日に、東京高裁で懲役4年の実刑判決が言い渡され、実刑判決が確定した件に注目です。なぜ前科のない新井被告に執行猶予は付かなかったのか?前科はあったのか?そして強制性交等罪とはどのような罪なのか調べてみました。
1どのような事件?
俳優の新井浩文被告(41)は、2018年、東京・世田谷区の自宅で出張マッサージ店の女性従業員に、性的な暴行をした罪に問われていました1審では求刑通り、懲役5年が言い渡されました。これに対し、被告は控訴し、「同意があったと思っていた」と無罪を主張して争っていました。
2どのような判決?
2審の判決で東京高等裁判所の細田啓介裁判長は、「被害者は被告に性的行為を求められ、動揺した状態に陥り、抵抗するのは著しく難しい状況だった。1審の認定に誤りはない」と指摘して、被告側の主張を退けました。
一方で、「1審のあとに被害者に300万円の慰謝料を支払うなどして和解を成立させた。刑を1年減らすべきだ」として1審判決を取り消し、懲役4年を言い渡しました。
引用:NHK
3強制性交等罪とは?
性犯罪を厳罰化する刑法改正案が、2017年6月23日に公布され、同年7月13日に施行されました。
110年ぶりの刑法の大幅改正となりますが、特に、罪名が変更された「強制性交等罪(きょうせいせいこうとうざい)」や、「準強制性交等罪」に注目が集まっています。
では、強制性交等罪・準強制性交等罪は、具体的にどのような内容となっているのでしょうか?
2017年の刑法改正のポイント
- 「強姦罪」3年以上の有期懲役
→「強制性交等罪」5年以上の有期懲役 - 「強姦致死傷罪・準強姦致死傷罪」無期又は5年以上の有期懲役
→「強制性交等致死傷罪・準強制性交等致死傷罪」無期又は6年以上の有期懲役 - 強姦及び準強姦の罪は親告罪
→「強姦致死傷罪・準強姦致死傷罪」非親告罪(被害者の告訴がなくても起訴できる)
強制性交等罪は、2017年の性犯罪に関する刑法改正で罰則が厳しくなり、最も短い刑の期間が3年から5年に引き上がった。そもそも即実刑という重い犯罪に手を染めてしまったわけです。
3−1裁判の争点
争点①強制性交等罪が成立する要件である「暴行」があったか
②性交に合意があると被告人が「誤信」することはなかったか
東京地裁はこの2つの争点について、「暴行を用いて性交したことは間違いなく認められ、性交について合意があると誤信したとの疑いを入れる余地もない」と認定。女性側の主張を全面的に認め、強制性交等罪が成立するとした。
3−2東京地裁の判決
判決では、女性の手を掴んで陰茎に押し付けるなどの一連の暴行や、性交したことについて、「深夜の時間帯に灯りも消されたマッサージの施術を受けるという機会に乗じ、そうした(女性)の置かれた状況に付け込んで敢行されている」と指摘。
両者の体格差を踏まえると、女性は「物理的、心理的に抵抗することが困難な状況であった」と推認し、「刑法177条所定の暴行を加えたと認められる」とした。
マッサージ店のサービス内容に対する新井被告の認識や、女性と被告の関係性を照らせば、「そもそも女性が性交に同意するとは考えにくいと分かっていたはずといえる」と指摘。
「一連の本件暴行に対し、女性が拒絶感を示し抵抗していたことも前記のとおりであるから、被告人が合意があったと誤信するとは到底考え難い」とした。
また、性交直後に現金を渡そうとしたことについては、「被告人が当該性交に当たり(女性の)意思に反するとの認識を備えていたことを指し示しているというべきである」と評価。弁護側の言い分を退けた。
引用:HUFFPOST
4執行猶予有りの可能性
4−15年から4年に減刑された理由
1審の懲役5年から懲役4年に減刑されたのは、強制性交罪での慰謝料が100万~300万円の事例が多く、相当額の慰謝料が支払われ、それは被害者が事件を決着させたいということを意味するので、そこが評価されたと考えられます。
4−2どうすれば執行猶予がついたのか
執行猶予がつくかどうかは「加害者を許し、刑事処罰を求めない」という意味の宥恕(ゆうじょ)が盛り込まれているかで大きく変わってきます。今回は慰謝料が支払われているものの、宥恕までが入っていなかったと考えられます。もし上告し、宥恕を含めた和解がさらに成立した場合は、執行猶予がつく可能性があったでしょう。
5まとめ
今回は強制性交罪に問われた元俳優の新井浩文被告(41)が2020年11月17日に、東京高裁で懲役4年の実刑判決が言い渡され、実刑判決が確定した件に注目してしみました。
強制性交等罪は一発アウトな犯罪で即実刑ということが分かりました。今回の判決で新井浩文被告はすでに収監され、しばらく出てこられない状況ですね。
一時的な性的な欲求で自分勝手な行動することで、信頼、仕事、将来・・・すべてを失ったといっても過言ではないでしょう。
しかし、1審の判決を言い渡したあと、瀧岡裁判長は「社会人としての信頼を失い、その信頼を取り戻すのは現実には難しいことですが、あなたの人生が終わったわけではありません。罪と向き合い償うことで、信頼を取り戻す努力を続けてほしい」新井被告に語りかけたそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。